【毎日小学生新聞】北朝鮮のミサイル発射　戦争にしないためには

毎日新聞（まいにちしんぶん）専門編集委員（せんもんへんしゅういいん）・与良正男（よらまさお）

みなさんもご存（ぞん）じの通（とお）り、北朝鮮（きたちょうせん）が弾道（だんどう）ミサイル１発（ぱつ）を発射（はっしゃ）し、北海道（ほっかいどう）・襟裳岬（えりもみさき）の上空（じょうくう）を通（とお）り越（こ）して、太平洋上（たいへいようじょう）に落（お）ちました。

関係地域（かんけいちいき）に住（す）むみなさんの中（なか）には学校（がっこう）が休校（きゅうこう）になった人（ひと）もいるかもしれません。どうして北朝鮮（きたちょうせん）はこんな危険（きけん）で無謀（むぼう）な行動（こうどう）をするのか。怒（いか）りや不安（ふあん）を感（かん）じた人（ひと）も多（おお）いと思（おも）います。

改（あらた）めて知（し）っておかなくてはいけないことがあります。北朝鮮（きたちょうせん）の核兵器開発（かくへいきかいはつ）やミサイル開発（かいはつ）は、決（けっ）して私（わたし）たち日本（にっぽん）と無関係（むかんけい）な話（はなし）ではないということ。

そして万（まん）が一（いち）、アメリカと北朝鮮（きたちょうせん）の間（あいだ）で戦争（せんそう）が起（お）きて、実際（じっさい）に日本（にっぽん）にミサイルが落（お）ちたら、多（おお）くの犠牲者（ぎせいしゃ）が出（で）る可能性（かのうせい）が大（おお）きいということです。

アメリカと北朝鮮（きたちょうせん）を比（くら）べれば、アメリカの方（ほう）が圧倒的（あっとうてき）に強（つよ）い戦力（せんりょく）を持（も）っています。でも戦争（せんそう）は瞬時（しゅんじ）には終（お）わらないかもしれません。その間（あいだ）に韓国（かんこく）や日本（にっぽん）が攻撃（こうげき）されたらどうなるでしょう。

だから戦争（せんそう）が起（お）きないようにしないといけない。何（なん）としてでも、北朝鮮（きたちょうせん）にミサイルを撃（う）たせないようにするのが肝心（かんじん）です。日本（にっぽん）をはじめ、各国（かっこく）とも今（いま）、そう考（かんが）えていると思（おも）います。

確（たし）かに北朝鮮（きたちょうせん）は、アメリカや日本（にっぽん）、韓国（かんこく）の言（い）うことを聞（き）こうとしません。「いざとなったら戦争（せんそう）をするぞ」とほのめかして、交渉（こうしょう）を有利（ゆうり）に進（すす）めようとしています。それを「瀬戸際外交（せとぎわがいこう）」と呼（よ）ぶのですが、そんな姿勢（しせい）をこれまでも繰（く）り返（か）えしています。

それに対抗（たいこう）するには、日本（にっぽん）とアメリカの努力（どりょく）だけでは足（た）りません。必要（ひつよう）なのは、この問題（もんだい）の解決（かいけつ）に消極的（しょうきょくてき）な中国（ちゅうごく）とロシアの協力（きょうりょく）だと思（おも）います。

中国（ちゅうごく）もロシアも、北朝鮮（きたちょうせん）が核兵器（かくへいき）を持（も）つことを望（のぞ）んではいないと言（い）われています。この地域（ちいき）で戦争（せんそう）が起（お）きるのも避（さ）けたいと考（かんが）えているでしょう。安倍晋三総理大臣（あべしんぞうそうりだいじん）（首相しゅしょう）には、中国（ちゅうごく）とロシアにもっと協力（きょうりょく）するよう呼（よ）びかけてもらいたいと思（おも）っています。

政治部（せいじぶ）デスクなどを経（へ）て２００４年（ねん）から論説委員（ろんせついいん）。早稲田大学大学院客員教授（わせだだいがくだいがくいんきゃくいんきょうじゅ）も務（つと）めた。ＴＢＳテレビ・ラジオや大阪（おおさか）ＭＢＳテレビの報道番組（ほうどうばんぐみ）などでコメンテーター。１９５７年生（ねんう）まれ。

https://mainichi.jp/articles/20170902/kei/00s/00s/006000c