韓国年金基金、1月からのドル売りを停止－ウォン上昇で下支え不要に

ウォン、数週間で急上昇―昨年10月以来の高値水準に
10日のウォンやアジアリスク資産は下落―米中通商協議への懸念影響
韓国の国民年金公団は、ウォン下支えの目的で行っていた５カ月間のドル売り戦略を終了した。事情に詳しい関係者が明らかにした。

　　匿名を条件に語った関係者によると、ここ数週間でウォンが急速に上昇し、昨年10月以来の高値を付けたことを受け、ドル売却を停止するという内部条件が発動された。10日のソウル外国為替市場では、ウォンは下落し、アジアの他通貨と比べて劣勢だった。

　　国民年金公団は、ウォンが１ドル＝1450ウォン付近まで下落した１月、ドル売りを開始した。計画に詳しい人物によれば、このドル売りは当初、ウォン換算で約500億ドル規模に達する可能性があるとみられていた。その後、公団は徐々にドルの保有比率を減らしていた。

　　バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのアジア太平洋担当シニアマーケットストラテジスト、ウィー・クーン・チョン氏は、「この動きはウォンにとってわずかに弱気材料となるが、直接的な影響は限定的だ」との見方を示した。

　　国家年金公団の広報担当者は、通貨戦略に関するコメントを控えた。

　　ウォンは10日、対ドルで約０.８％下落した。また、アジアの一部のリスク資産も売り圧力を受けた。米中の通商協議に関する続報を、投資家が注視しているためだ。

　　米財務省は先週、韓国を為替政策に関する「監視リスト」に留めると発表し、「外国為替市場が無秩序な状況にあるなど、例外的な場合に限って為替介入を行うべきだ」と主張した。これに対し韓国企画財政省は、「為替政策に関して、米国との定期的な意思疎通と継続的な協議を通じて、相互理解と信頼を深めていく」との声明を発表した。

Bloomberg 2025年6月10日 18:32
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-10/SXMS0RDWRGG000