韓国でいよいよ「人口減少」という大問題が始まった…！ 今後はスピードを上げ人口減が続くことに　現代ビジネス

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前年より2万人超減少

写真：現代ビジネス

　日本で人口減少が始まったのは2010年からであるが(「住民基本台帳人口:1月1日基準)、これよりおよそ10年遅れでついに韓国でも人口減少が始まった。韓国の「住民登録人口調査」によれば、2020年12月末日の人口は、5182万9023人であり、前年より2万838人減少した。

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　人口増加率は2018年に0.1％を切り、2018年は0.09％、2019年は0.05％となっており、人口は増加というより横ばい状態であったため、人口減少は時間の問題であったわけであるが、ついにその時がやってきた。

　なぜ人口減少になったかといえば、出生者数が減って死亡者数が増えているからである。出生者数から見てみよう。「人口動向調査」によると、出生者数は1971年には100万人を超えていた、これが2002年には50万人を切るようになり、2019年には30万人ほどにまで減少した。

　そしてこの根本的な理由が出生率の低下である。合計特殊出生率(以下、「出生率」とする)は、朝鮮戦争が休戦に入って以降の1955～1959年には6.3にも達していた。出生率があまりに高いと、子供の扶養費が高くなることで家計の貯蓄率が低下し、資本蓄積が阻害され、ひいては国の経済成長率を引き下げる。

　そこで1960年代から韓国では出生抑制政策が行われ、同政策が廃止された1996年には1.57まで出生率が低下した。しかし出生抑制政策が廃止されて以降も、雇用の不安定化により結婚できない人が増加したことに加え、子供の教育費負担が高まり続けたこともあり、出生率は低下し続けた。そして出生率は2018年に0.98、2019年には0.92と2年連続で1を下回るといった驚異的な低さとなっている。

　ここまで出生率が低下すれば出生者数が減るのは当然であり、半世紀で出生数はピーク時の3割にまで激減してしまった。
高齢化のインパクト

〔PHOTO〕iStock

　次に死亡者数の増加も見てみよう。死亡者数は出生者数ほど明らかな傾向が見いだされるわけではないが、長期的にみれば増加している。死亡者数は2019年こそ前年と比較して減少したが、その前は5年連続で増加していた。

　そして10年ごとに見ると、1970年代の年平均の死亡者数は25万151人であったが、1980年代には24万4732人と若干ながら減少した後、1990年代、2000年代も24万人台とおおむね横ばいで推移した。しかし、2010年代には27万5016人と増加に転じた。

　これは死亡率が高くなったからではない。年齢階級別の粗死亡率(10万人当たりの死亡者数)を見ると、60～69歳で2009年には1002人であったものが、2019年には685人に下がっている。同様に、70～79歳は2009年の2766人から2019年には2093人へ、80歳以上は9399人から8408人へとそれぞれ低下している。

　これは医学の進歩によるところが大きいと考えられるが、死亡率だけを見ると死亡者数が減ってもおかしくない。それにもかかわらず死亡者数が近年増えているのは、高齢化が進んでいるからである。高齢化率、すなわち65歳以上の人口比率は、1970年にはわずか3.1％であった。これが2010年には10.8％となり、2020年には15.7％となる。

　年齢階級別の死亡率が下がったとしても、高年齢層の死亡率は高いわけであるので、高齢者層が増えれば高い死亡率の年齢階級の人口が増える。2000年代までは、高年齢層の増加が全体の死亡率を押し上げる効果を、年齢階層別の死亡率の低下が全体の死亡率を押し下げる影響が相殺していたが、2010年代に入り高齢化のスピードが増したこともあり前者の影響が後者の影響より強くなり、全体の死亡率を高めることとなった。その結果、近年は死亡者数が増加することになった。

　ちなみに「人口動向調査」によると、2019年は、出生者数が30万2676人、死亡者数が29万5110人であり、かろうじて出生者数が死亡者数を上回っていたが、2020年は1～10月の数値(現時点では10月の数値までしか公表されていない)は、出生者数が23万3703人、死亡者数が25万2518人であり、死亡者数が出生者数を上回った。よって韓国の人口は減少に転ずることになった。


（略）